デジタルトランスフォーメーション*1およびスマートガバナンス*2のビジョンを具体化し、公務員が人工知能(AI)技術を積極的に活用して業務上の課題を解決することを促進するため、台東縣政府は昨年(2025年)末に、初開催となる「AIスマート(AI智能)」応用コンテストを実施しました。

各局處から計16チームがエントリーし、激しい審査を経て、台東縣消防局の「災害対応センター情報フロー自動化(災害應變中心資訊流自動化)」プロジェクトが最優秀の金賞を獲得しました。公的部門におけるAI導入の優れた成果と高い応用可能性を示す結果となりました。
台東縣政府人事處によると、本コンテストは「課題志向・実務重視」を主軸とし、参加チームは実際の業務シーンに即した、具体的かつ実装可能なAIソリューションを提案することが求められました。
16件の応募作品は書類審査を経て半数が決選に進み、12月23日に第2段階となるプレゼンテーション審査が行われ、最終的に優秀5チーム・5作品が選出されました。
金賞を受賞した台東縣消防局は、災害対応時における情報量の多さ、報告書作成の煩雑さ、ヒューマンエラーの発生といった課題に着目し、Google AppSheetや生成AI「Gemini」などのツールを活用してLINE Botと連携した「災害対応センター情報フロー自動化」システムを構築しました。
本システムにより、単一の災害案件あたり約70~130時間の業務時間削減を実現し、すでに2025年の花蓮縣光復郷での救災活動(大洪水災害救済活動)に実際に導入され、意思決定の迅速化に大きく貢献しています。
銀賞(第2位)を受賞した地政處地籍暨資訊科は、「AI消防隊」プロジェクトを発表。ChatGPT Team版を活用し、「公文ライター(公文寫手)」や「プログラミングマスター(程式大師)」といった専用モデルを構築することで、公文書作成やプログラム開発といった負担の大きい業務を効率化しました。実証の結果、プログラム作成速度は50%向上、全体の行政効率は40%改善、作業ミスは20%削減され、行政プロセスの大幅な最適化を実現しました。
銅賞(第3位)を受賞した台東縣税務局の「我們的AI神隊友(私たちのAI最強チームメイト)」は、AIを活用して職員がPythonコードを作成し、自主的にRPA(業務自動化)ツールを開発。システム改修を外部業者に依存し高額な費用がかかっていた課題を解消しました。AIの活用により、数日を要していた複雑なデータ照合作業が数分で完了するようになり、コストゼロでの業務効率向上を実現しています。
優選に選ばれた教育處は、教育関連データが分散し報告作業の負担が大きいという課題に対し、AIによるデータ分析支援を導入。「指先一つで」県全体のデータを即時把握できる体制を整え、行政負担の軽減とともに、精度の高い意思決定を支える教育ガバナンスの向上を実現しました。
同じく優選を受賞した環境保護局は、監査人員の不足や勤務時間外の監視空白を解消するため、AI画像認識技術を工事現場のCCTVと連携。粉じんなどの汚染源を24時間検知し、LINEで即時通報する仕組みを構築しました。夜間や休日の監視の空白を補い、汚染管理の効果を大幅に高めています。



受賞チームは2月に開催される擴大縣務會議(拡大県務会議)において表彰される予定で、上位3チームは導入経験や取り組みのプロセスを公開共有することになっています。台東縣政府は、こうした先進事例を横展開することで、台東におけるスマートガバナンスの新たなモデル構築を目指しています。
記者が日本へ戻って来て驚いたことは、役所での書類への記入、書類でのやり取りの多さでした。台湾ではIDカードがあれば大体の事はOKでした。書類への記入もサイン程度。
しかし、日本の役所では未だに、紙でのやり取りが多く、そのため、時間もかかります。
また、職員の人達の机の上も書類やファイルでいっぱいで、机の足元にまでファイルが並んでいる光景もよく目にします。
作業の効率化とデーターの収集・保存、活用、そして、他部署とのデーター共有により、役所で、各部署をたらいまわしにされることもけいげんするのではないでしょうか。
*1 デジタル・トランスフォーメーション(DX)とは、デジタル技術(AI、IoT、ビッグデータなど)を活用して、企業のビジネスモデル、製品・サービス、業務プロセス、組織文化、風土そのものを根本から変革し、新たな価値を創出して競争上の優位性を確立することです。単なるIT化や効率化に留まらず、企業の存続と成長のために不可欠な「企業そのものの変革」を指し、2018年の経済産業省の「DXレポート」をきっかけに日本で広く普及しました。
≪DXの主なポイント≫
目的は「変革」: 業務の効率化だけでなく、顧客や社会のニーズに対応した新しい価値創造を目指します。
手段は「デジタル技術」: クラウド、AI、IoT、ビッグデータ解析などの技術が活用されます。
対象は「企業全体」: 業務プロセスだけでなく、組織、企業文化、働き方、顧客体験(CX)まで含みます。
背景: 激しいビジネス環境の変化や、既存ITシステムの課題(2025年の崖)に対応するため、必要性が高まっています。
≪IT化・デジタル化との違い≫
IT化・デジタル化: 既存業務の効率化や自動化(例:紙のデジタル化、RPA導入など)。
DX: その先にある、ビジネスモデルや企業文化、提供価値そのものの変革。デジタルが当たり前になった時代に、企業が生き残るための「戦略的変革」です。
≪DXで目指すこと≫
データとデジタル技術を中核に、顧客への提供価値を変革する。
新しい組織能力を獲得し、企業としての競争力を高める。
働き方改革や人材不足の解消にもつながる。
DXは「ゴール」ではなく、企業が時代に適応し成長し続けるための「長い旅路(ジャーニー)」と捉えられています。
*2 スマートガバナンスとは、AIなどの先端技術がもたらすメリットを最大化しつつ、プライバシー侵害や差別助長といったリスクを適切に管理・統制するための「アジャイル(俊敏)で変化に強い統治・管理体制」を構築することです。法令遵守だけでなく、倫理的・社会的な側面も考慮し、外部環境の変化に合わせて組織・ルール・技術設計を継続的にアップデートしていく仕組みを指します。
≪スマートガバナンスの主な要素と特徴≫
技術とガバナンスの専門家集団: テクノロジー(AIなど)と法規制、ビジネスの両方に精通した専門家が支援します。
アジャイル(俊敏)な体制: 変化の速い技術動向や社会情勢に合わせ、硬直的でなく、迅速にガバナンスを更新できる仕組みを構築します。
法令・ガイドラインへの準拠: 経済産業省の「AI原則実践のためのガバナンス・ガイドライン」など、国内外の最新の法令や国際標準に沿った体制を整備します。
リスクの最大化と最小化: AIの恩恵を最大化しつつ、ハルシネーション(嘘の回答)やフェイクコンテンツ生成、著作権侵害などのリスクを管理します。
「責任あるAI(Responsible AI)」の実装: 人権を尊重し、倫理的・社会的に「正しい」AI活用を推進します。
テーラーメイドのアプローチ: 業界や企業ごとの特性、リスクを踏まえ、個別最適化された「最適解」を提案します。
≪なぜ今、スマートガバナンスが必要なのか≫
ChatGPTのような生成AIの登場により、AIの活用は爆発的に進みました。しかし、その一方で、個人情報保護、著作権、公平性、透明性といった新たな課題が浮上しています。スマートガバナンスは、これらの課題に対応し、イノベーションを持続可能な形で社会に実装するために不可欠な考え方・仕組みです。
≪スマートガバナンスが支援する具体例≫
NECが構築したAIガバナンス体制の支援。
AIのリスク評価、倫理規定の策定支援。
つまり、スマートガバナンスは、新技術の導入において「イノベーションの推進」と「リスク管理・社会的責任」の両立を目指す、現代的な統治のあり方と言えます。
出典:台東最速報
写真:同上
この記事は2026.01.05台東最速報発表の内容を日本語訳し活用したものです。原文と相違がある場合は、公式サイトに掲載されている原文が優先されます。