台湾・台東県(縣)ニュース

日本人にはあまり馴染みのない東台湾・台東縣。今、台東縣では地域活性化・地方創生を成功させ、確実に成果を挙げています。その台東縣の最新ニュースをお届けします。

「緑島」持続可能デジタルツイン合同成果交流会(綠島永續數位孿生聯合成果交流會)開催

台東市の東約 33 km の太平洋に浮かぶ小さな火山島。その島の名は、「緑島」。昔は、「火焼島」と呼ばれていた。人口約3,300人の島で、満潮時の面積は 15.092 km²、干潮時の面積は 17.329 km²。台湾で 7 番目に大きい島である。

この島は火山岩からなり、長年の風化と海水の浸食で入り組んだ海岸線を持つ。奇岩怪石、リアス式海岸、白砂のビーチ、緑の草原、世界でも珍しい海底温泉、珊瑚礁、台湾有数の透明度を誇る澄んだ海、数々の植物などは、緑島を単なる離れ小島から、東部海岸の海上楽園にしている。

主な観光名所としては、

①緑島灯台

空港の北に位置するこの灯台は、1937年、豪華客船「プレジデント・フーバー号」が沖で座礁した際の島民の救助活動に感謝し、後にアメリカから送られたもの。

②奇岩怪石

長年の風化と海水の浸食によって、多くの奇岩怪石が形成された。それぞれに、睡美人、込巴狗、牛頭山、楼門岩、孔子岩などと命名されている。

③朝日温泉

世界でも非常に珍しい海底温泉。露天風呂と遊歩道が整備されている。

④観音洞

石灰岩でできた洞窟。隆起した珊瑚礁が長年浸食されてできたもの。観音様が姿を現して海に漂う漁師を助けたという伝説がある。その後洞窟を捜したところ石観音が発見され、以後線香が絶えることはない。

⑤海参坪

ここからの「睡美人と哈巴狗」の眺めは最高。石段を登りたどり着いた展望台からの眺めは格別。帆船鼻キャンピングエリア国民旅舎の前にあり、設備は木造りで、歩道、トイレ、かまど、テーブルなどの設備は万全。

⑥海底世界

緑島の周辺はさまざまな珊瑚があり、これに引かれてくる多くの熱帯魚や海洋生物が生息している。シュノーケリング潜水艇やグラスボートで海底の世界を覗いてみる事が出来る。


この緑島について、台東縣政府は12月15日、國科會自然處(国家科学及技術委員会(国科会)自然科学処)および内政部地政司と共同で、「緑島持続可能デジタルツイン合同成果交流会(綠島永續數位孿生聯合成果交流會)」を開催した。

本交流会には、台湾全土から空間情報および持続可能な発展分野の重要な学者・専門家が台東に集結し、過去3年間にわたり緑島で推進してきたデジタルツイン研究(數位孿生研究)*1の成果を初めて包括的に発表した。

 

本イベントには、複数のトップ大学、中央政府および全国各地の地方政府機関、さらにGIS産業界*2も参加し、分野横断的な対話が行われ、緑島が持続可能なモデルアイランドとして有する発展の可能性が示された。

台東縣政府によると、本研究は、台東縣政府地政處が全国最高精度を誇る「緑島高精度三次元地形モデル(綠島高精度三維地形模型)」を完成させたことに端を発し、台東縣がデジタルツイン研究へ本格的に踏み出す重要な節目となった。

これを基盤として、国科会の空間情報技術分野では、この3年間にわたり、エネルギーの持続可能性、森林の炭素吸収源、分野横断的な情報統合、風況モデル評価など、多岐にわたる研究が進められてきた。

台東縣政府は、局處・機関を横断したデータ統合を担い、研究に必要な最も包括的な離島データベースを提供してきた。

今回の交流会は、これら3年間の成果を初めて完全な形で公開する場となった。

 

台東縣縣長(知事)の饒慶鈴氏は、「緑島は持続可能なガバナンス、エネルギー転換、環境モニタリングを推進する上で大きな潜在力を有しており、デジタルツイン技術は、離島が「データ」から「政策決定」へと進むための重要なツールである」と述べた。

 

今回のイベントは、中央・地方・学術研究機関の協力成果を示すだけでなく、台東が全国有数の空間情報研究力と接続し、未来志向のスマートガバナンス基盤を構築する機会ともなった。

 

緑島は観光の島であるだけでなく、極めて高いレジリエンスと持続可能性の潜在力を持つ島。

本交流会の開催は、研究成果の段階的な発表であると同時に、次の発展段階の始まりを象徴している。参加者による共有と議論を通じて、台東におけるデジタルツインの推進、政策決定支援、持続可能な発展の実現に、より大きな効果をもたらし、台東、さらには全国の模範事例となることが期待される。

 

國科會自然處の頼明治處長は、「緑島は台湾でも極めて特徴的な地理・生態環境を有しており、三次元空間モデル、航空・リモートセンシング、自然・持続可能資源、風況モデルなどの技術を組み合わせることで、台湾全体の離島におけるデジタルツインのモデルプラットフォームとなり得る」と指摘した。

将来的には、他地域への展開も可能で、より包括的な分野横断型ガバナンスモデルの構築につながるとしている。

 

交流会は「デジタルツイン × 持続可能なガバナンス(數位孿生 × 永續治理)」をテーマに、午前中は研究チームの教授陣が緑島における3年間の研究成果を発表し、午後は産業界が三次元地籍、意思決定支援、防災応用などの成果を紹介した。理論から実践までをつなぐ一貫した取り組みが示された。

 

地政處は今後について、国科會および関連研究チームとの連携を継続し、緑島におけるデジタルツインの応用をさらに深化させ、持続可能な発展、スマートガバナンス、防災意思決定、観光管理などの分野で活用することで、より強靭で持続可能な地域づくりを目指していくと補足した。

この交流会で最も中な事は、先にも述べた様に、理論⇒実践 という点である。
理論ばかりが先行しがちな交流会だが、そこに、産業界を巻き込むことにより、実践へと繋がる。

 

*1 デジタルツイン研究とは、現実世界のモノやシステム(都市、工場、製品、人体など)をIoT技術などで収集したデータをもとに、仮想空間にそっくりな「双子(ツイン)」を再現し、その中でリアルタイムなシミュレーションや分析を行う技術の研究開発で、それにより現実世界の最適化(生産性向上、リスク低減、予知保全など)や、新たな価値創出を目指すものです。

≪研究の主な目的と内容≫

高精度な再現: 現実世界のデータをリアルタイムで仮想空間に反映させ、物理的な制約を超えた高精度なデジタルモデルを構築します。

シミュレーションと予測: 仮想空間上で、現実では試せない過酷な状況や未来の変化をシミュレーションし、その結果から最適な対策を導き出します(例:災害予測、製品故障予測)。

最適化と効率化: 製造ラインの改善、都市計画の最適化、エネルギー管理など、様々な分野で現実世界へのフィードバックを通じて効率化やコスト削減を図ります。

新たな体験・価値の創出: 人や故人との対話、過去の自分との対話など、現実では不可能な体験や、新たなビジネスモデルを生み出す研究も行われています。

≪活用分野の例≫

製造業: 製品の設計・開発、製造ラインの監視・最適化、予知保全

都市・国土: 3D都市モデル(PLATEAUなど)を活用した防災、交通渋滞の緩和、スマートシティ。

医療・ヘルスケア: 個人の健康状態の再現とシミュレーション、治療計画の最適化。

インフラ: 橋梁やトンネルなどの劣化予測、メンテナンス計画。

≪関連する技術≫

IoT(モノのインターネット): 現実世界のデータを収集。

AI(人工知能): データの分析・予測。

5G/6G: 高速・大容量通信によるリアルタイム性の確保。

VR/AR: 仮想空間の可視化と操作。

デジタルツイン研究は、これらの技術を統合し、社会課題の解決と産業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を加速させるための基盤技術として、幅広い分野で発展が期待されています。

 

*2 GIS産業とは、地理情報システム(GIS: Geographic Information System)を核とし、位置情報を持つ多様なデータをデジタル地図上に重ね合わせ、分析・可視化・管理することで、都市計画、防災、物流、マーケティングなど社会の様々な分野で最適な意思決定や業務効率化を支援する技術・サービス・製品を提供する産業の総称です。身近なナビゲーションからインフラ管理、サプライチェーン最適化まで、「地図」と「データ」を結びつけることで価値を生み出すのが特徴です。

GIS産業の主な特徴と役割≫

データの統合と可視化: 地形、人口統計、交通、施設情報などの異なるデータを地図上で統合し、傾向やパターンを視覚的に分かりやすく表示します。

高度な分析: 「どこに」「何が」「どう関連しているか」を分析し、例えば「災害時に避難経路となる道路はどこか」「どの地域にどんな顧客が多いか」といった課題解決に貢献します。

効率化と最適化: 配送ルートの最適化、施設の効率的な管理、適切な出店場所の選定など、業務の効率化とコスト削減を実現します。

情報共有とコミュニケーション: 関係者間で共通の地図情報を基に議論でき、情報共有を円滑にし、共通認識の形成を助けます。

≪活用される主な分野≫

公共・防災: 都市計画、災害リスク分析、避難計画、インフラ(電気・ガス・水道・道路)の管理。

ビジネス・マーケティング: 商圏分析、店舗出店計画、顧客分析、サプライチェーン管理。

物流・運輸: 配送ルート最適化、車両管理、交通分析。

不動産: 立地評価、物件価値予測、資産管理。

一般消費者: スマートフォンのナビゲーション(経路案内)、店舗検索。

≪なぜ「産業」と呼ばれるのか≫

GIS技術を支えるソフトウェア開発、地図データ作成・整備、コンサルティング、システム導入・運用などの専門サービスや製品が市場を形成しており、これら全体を「GIS産業」と呼び、社会基盤として発展しています。

 

出典:台東最速報

写真:同上

この記事は2025.12.16台東最速報発表の内容を日本語訳し活用したものです。原文と相違がある場合は、公式サイトに掲載されている原文が優先されます。