台湾・台東県(縣)ニュース

日本人にはあまり馴染みのない東台湾・台東縣。今、台東縣では地域活性化・地方創生を成功させ、確実に成果を挙げています。その台東縣の最新ニュースをお届けします。

高齢者にとって、安心・安全・優しい地域 台東縣

今回は、台東縣が如何に高齢者にとって、安心、安全で優しい地域であるかについてご紹介しよう。

 

まず最初にご紹介するのは、「高齢者スマートリストバンド*1」について。

「高齢者スマートリストバンド計画(長者智慧手環計畫)」の継続が決定した。

台東・成功鎮と長濱郷で実施している「高齢者スマートリストバンド((長者智慧手環)」見守り支援計画は、立法議員陳瑩(Ying Chen)氏が2023年に3,600万台湾元(約1億8,000万円)の予算を獲得し、2年間の試行事業としてスタートしたもの。

この計画は今年末で終了予定でしたが、この2年間でへき地に暮らす高齢者の安心感と健康サービスの質を大きく向上させてきた。

その成果を踏まえ、陳瑩議員は、衛生福利部(厚生労働省に相当)に追加で2,200万台湾元(約1億1,000万円)を申請し、さらに1年間の継続実施が決まった。

今年4月、陳瑩議員は、成功鎮で地域の皆さんを訪ねた際、「あるご高齢の方が、黙って私の前に来て、突然袖をまくり、手首のスマートリストバンドを見せてくれたのです。一瞬きょとんとしたあと、私たちは顔を見合わせて大笑い。

実はその方は、『ありがとう』と直接伝えたかったのだと分かりました。

今では成功鎮や長濱郷では、高齢者がスマートリストバンドを見せて挨拶することが『私は元気で安全です』という合言葉になっています。今でも思い出すと笑顔になり、そして胸が熱くなる出来事でした」と語った。

さらに、陳瑩議員は、「そのとき、その高齢者のそばには、オーストラリアから帰郷した長女と、県外で働く次女も一緒にいました。

私はお二人に、スマートリストバンドには緊急通報機能だけでなく、位置情報機能もあることを説明しました。お二人はその機能に驚かれると同時に、家族が別々の場所に住んでいたり、海外にいても、スマートフォンを通じてリアルタイムで母親の状況を把握できると喜ばれていました。」と述べた。

この、「高齢者スマートリストバンド」は、へき地の高齢者ケアにとって非常に重要なものとなる。

成功鎮・長濱郷での2年間の試行事業の成果は非常に明確で、すでに1,200人以上の高齢者が恩恵を受けている。

スマートリストバンドにより、高齢者は個別化された健康管理、即時アラート、緊急通報を受けることが可能になる。

へき地にとって、これは単なるテクノロジー製品ではなく、介護・見守りの空白を本当に埋める、重要なツールとなっている。

日本では、「高齢者スマートリストバンド」は原則、個人負担で購入しなければならない。しかし、台東縣では、その費用を公費で賄う。これは、台東縣が、高齢者、特に、へき地に住む高齢者を大切にしようとする政治姿勢の現れである。

子供に対してもテクノロジーを使って教育支援を行い、高齢者に対しても同じ様に支援を行う。正に、全ての人に優しい政策ではないだろうか。

 

次にご紹介するのは、高齢になると心配なのが、認知症(旧名:痴呆症)である。

認知症のケアは長く、困難を伴う道のりであり、介護者は大きなストレスや精神的負担を抱え、自身の健康を後回しにしてしまいがちとなる。

「介護者の健康こそが、被介護者を守る最も重要な力」であるとし、台湾政府は、長期介護3.0(長照3.0*2)という政策を打ち立てた。この長期介護3.0は単なる政策のアップデートではなく、ケアの在り方そのものの転換を意味する。

台東縣政府は、家庭に要介護高齢者や介護支援が必要な方がいる場合、台東縣長期介護専用ダイヤル1966へ連絡し、関連サービスの案内を受け、地域資源を積極的に活用することで、健康に暮らし、安らかに老い、尊厳ある最期を迎えられる生活環境を共につくっていこうと呼びかけた。

 

台東縣衛生局は12月11日発表したプレスリリースで、介護者の心身の健康の重要性に焦点を当て、禾風新棧度假飯店(禾風新棧リゾートホテル)にて「認知症ケアサービス計画および家族介護者支援サービス革新型計画、障がい者家族介護拠点の共生モデル試行事業 ― 連携会議および成果発表会(失智照護服務計劃暨家庭照顧者支持服務創新型計劃及身障家照據點共融試辦計畫-聯繫會議與成果展)」を開催したと発表した。

本会議は孫国平衛生局長が主宰し、認知症ケアサービスで優れた成果を上げた団体への表彰も行われた。

イベントは「認知症介護者の自己健康管理(失智症照顧者自我健康管理)」をテーマに、専門家、認知症ケアおよび家族介護者支援団体、台東縣県政府が一堂に会し、推進成果や革新的なサービスモデルについて意見交換を行い、認知症ケアと介護者支援のネットワーク強化を図った。

孫国平衛生局長は、長年にわたり尽力してきたすべての介護者、医療・長期介護の専門職、地域組織に感謝の意を表し、今後も分野横断的な資源統合を進め、より包括的な支援体制を整えることで、どの家庭も介護の道で孤立することがない社会の実現を目指したいと述べた。

また衛生局は、今後も認知症ケアおよび介護者支援サービスの推進を継続し、健康管理、サポートグループ、レスパイト(休息)支援、カウンセリングサービス、地域共生拠点などの施策を通じて、より利用しやすく、より充実したケア環境を整備していく方針を示した。

介護者とその家族一人ひとりを守り、介護者の健康を重視する支援型・地域ケアネットワークの構築を目指している。

 

*1 高齢者スマートリストバンドとは、心拍数・歩数・睡眠の質・体温などを自動計測し、健康状態の把握や緊急時の見守り(転倒検知や位置情報共有)に役立つ、手首に装着するウェアラブルバイスです。介護・健康管理・見守りに特化しており、スマホ連携で家族やケア担当者へデータ送信・アラート通知も可能で、日々の健康増進からもしもの時の早期対応までをサポートします。

≪主な機能とメリット≫

健康モニタリング: 歩数、心拍数、睡眠の質、消費カロリー、皮膚温などを計測し、体調変化を可視化。

見守り・緊急対応:

転倒や異常なバイタルを検知し、家族や介護事業者に通知。

GPS機能で現在地を確認でき、徘徊や迷子対策にも。

データ連携: スマートフォンや専用アプリと連携し、詳細なデータ分析や遠隔での健康管理を可能に。

使いやすさ: 充電不要で発電するタイプや、シンプルで分かりやすい操作性のものも登場。

フレイル予防: 睡眠スコアや会話量(※機種による)なども計測し、うつ病認知症のリスクにも関連するデータを取得。

≪どんな人におすすめか≫

離れて暮らす親御さんの安否確認や健康状態を見守りたい家族。

日々の運動量や体調の変化を客観的に把握し、健康習慣を改善したい高齢者。

介護現場での体調チェックの手間を軽減したい事業者。

 

*2 長照3.0とは、台湾の長照2.0をさらに進化させた次世代の長期照顧政策で、「健康促進」「医療と介護の統合」「積極的復能(機能回復)」「安寧善終(尊厳ある終末期ケア)」などを8つの目標に掲げ、対象者の拡大、智慧科技の導入、地域連携の強化、人材育成を通じて、より包括的で切れ目のない介護サービスを目指すものです。特に、外籍看護師を雇用する家庭も利用可能にしたり、AIやスマート補助具を導入したりして、サービスをより柔軟・効率的にするのが特徴です。

≪主な特徴と変更点≫

対象者の拡大: 軽度な失能者や初期の認知症患者、若年性認知症者など、より多くの人々がサービスを利用しやすくなります。

医療・介護のシームレスな連携: 入院から退院後まで、医療と介護がスムーズに連携し、在宅での急性期ケア(在宅急症照顧)も強化されます。

智慧(スマート)ケアの導入: 移乗支援、排泄支援、見守りなどの智慧科技(AI、データセンサーなど)を導入し、利用者の自立支援と介護者の負担軽減を図ります。

家庭支援の強化: 外籍看護師を雇用する家庭でも、交通、短期宿泊(喘息服務)、補助具などのコミュニティサービスを利用できるようになり、介護負担を軽減します。

復能(リハビリ)の重視: 施設や在宅で、利用者の残存機能を最大限に引き出し、自立した生活をサポートする「積極復能」を強化します。

安寧善終の推進: 尊厳ある最期を迎えるため、預立医療諮詢(ACP)の利用を促し、終末期ケアの質を高めます。

人材育成と処遇改善: 介護人材の不足に対応するため、中階技術人材の導入や労働条件の改善、志工(ボランティア)の活用などを推進します。

≪実施時期(段階的)≫

2025年後半: 外籍看護師世帯へのコミュニティサービス適用拡大などが開始されます。

2026年1月以降: 全年齢の失能・失智者、急性期治療後の患者などが対象になります。

2026年7月以降: 智慧科技補助具のレンタル制度が本格化します。

長照3.0は、長照2.0が抱えていた課題(対象者の限定、サービス断絶、資源不足など)を解決し、より包括的で質の高い「健康な老化(健康老化)」と「地域での安らかな生活(在地安老)」を実現することを目指しています。

 

出典:立法議員陳瑩(Ying Chen)、台東縣衛生局、台東爆新聞

写真:同上

この記事は2025.12.15立法議員陳瑩(Ying Chen)氏発表、2025.12.11台東縣衛生局、台東爆新聞発表の内容を日本語訳し活用したものです。原文と相違がある場合は、公式サイトに掲載されている原文が優先されます。