台湾・台東県(縣)ニュース

日本人にはあまり馴染みのない東台湾・台東縣。今、台東縣では地域活性化・地方創生を成功させ、確実に成果を挙げています。その台東縣の最新ニュースをお届けします。

積極的に国際交流を続け、情報発信を続けると同時に、世界からの情報も積極的に取り入れる姿勢

台東縣は以前から積極的な国際交流を続けている。

芸術・文化・観光・教育・AI、スローフード等々、様々なテーマを軸に、海外へ赴いて台東縣をPRしたり、海外から専門家を招いて講演会を開催したり、海外の芸術家に台東に滞在し、創作活動をしてもらったり、更には、海外で活躍する台東縣出身者を講師に招いたりと、その活動内容は多岐に渡っている。

 

今までもいくつかの国際交流についてご紹介してきたが、今回は未だご紹介していない2025年の国際交流についてご紹介する。

 

【1】 12月1日、台東国際青年商会とマレーシアのJCI*1Kulim(Kulim国際青年商会)が台東縣議會で會務交流*2を開催した。

交流会の後には、議会が特別に議場の見学を手配し、県政の監督、予算審査、そして地方建設の推進における議会の役割や運営について紹介した。

台東縣議會議長の吳秀華氏は、「今日の交流を通して、青年こそ社会の進歩を後押しする重要な力であることを改めて強く感じました。

今後、台東がこのような交流を重ねることで、国際社会とさらに緊密につながり、手を携えてより美しい未来を築いていけることを願っています。この友情が今後さらに深まり、より多くの若者が国際舞台で輝けますように!」と述べた。

マレーシア・Kulim国際青年商会は陳詩晴会長を中心としたメンバーで台東県を訪れ、台東国際青年商会の鍾皇亭会長率いる台東縣国際青年会のメンバー達と意義深い交流を行った。


台東國際青年商會國際事務主委の陳家琦氏によると、「今年、Kulim国際青年商会と台東国際青年商会は特別に協力し、「児童ぬり絵コンテスト」を開催しました。

このイベントは両地の有名なランドマークをテーマにし、子どもたちが色彩と想像力を使って、自分たちの目に映る故郷・文化・つながりを描けるようにしたものです。

一筆一筆に込められた作品の中には、子どもたちの創造力だけでなく、両地域の温かい友情も感じられました。

吳秀華議長と台東縣議会のご協力のおかげで、子どもたちはとても重要な場所で貴重な思い出を残すことができ、イベントもより円満に実施することができました。」と述べた。

台東縣議会で行われた表彰式では、小さな参加者たちが自分の作品を手に壇上に立ち、恥ずかしそうでありながらも誇らしげな笑顔を浮かべていた。

会場は祝福と拍手、そして温かな交流で満たされ、今回のイベントでは、参加したすべての子どもが輝く“小さなアーティスト”であった。

 

 

【2】 12月6日から14日まで、タイのチェンマイで開催されている「チェンマイデザインウィーク」に参加し、台東の山から海へと流れる、あのゆっくりだけど確かな歩調をそのまま持ち込み、「ゆるやか台東・工芸の地平線(慢漫臺東・工藝地平線)」という展示として形にした。

今回は台東から出発し、東海岸のリズムを土台に、台東の工芸をチェンマイのデザインシーンへ届け、作品を通してこの土地を国際的に知ってもらう機会となった。

展示は3つの方向から展開した。

① 共創の手(共創的手)

台東の職人とデザイナーが手を取り合い、地域の素材や伝統技法を現代の言葉へと変換。

② 暮らしの姿(生活的樣子)

台東の工芸は展示品ではなく暮らしの風景。複数のローカル工芸ブランドやセレクト品を展示。

③ 編みの根っこ(編織的根)

籐編み文化は山林と記憶を結ぶもの。採集・処理・編み・日常での使われ方まで、一本の藤がつなぐ命のストーリーを通して、台東工芸の奥行きを見せた。

 

展示内容は、今年の共創作品である籐編みの提灯・テーブルランプ、藍染茄芷袋*3藍染のナップサック、陶器など。

さらに、台東からの工芸ブランド ― PAPULU C 湧樂、角琉璃、湛露工作室、小織部、九鳥陶燒、月光海藝文工作室、花線、人逸器作なども参加した。


【3】 台東美術館には館内レジデンスアーティストとしてローラ・リンボーグ(Laura Limbourg)がいる。

彼女の作品が11月20日〜12月13日に台北の「YIRI ARTS(伊日藝術計劃)」にて個展 「Shivering Tenderness」 として展示されている。

ベルギーとチェコで活躍するアーティスト、ローラ・リンボーグ(Laura Limbourg)は、プラハ美術アカデミーを卒業。台東美術館の2024年度(114年度)館内レジデンスアーティストとして滞在し、台東で目にした光景と、かつて東南アジアの旅から受けたインスピレーションを融合させた作品を創作。

女性の身体イメージを中心に、台東の自然風景や都市の縮図を組み合わせた作品の一部はアクリル画として制作され、現在、美術館内の艾蘭哥爾藝文咖啡館で展示されている。

新作シリーズでは、下地を塗らないキャンバスに薄めたアクリル絵具を染み込ませるように描くことで、色彩が繊維に浸透し、流動的で透明感のあるレイヤーを形成。赤い手は自然からエネルギーを受け取ることを象徴し、ヨーロッパで育つスノードロップの花は「より良い新しい日々」を意味している。

この花は冬の終わり、春の訪れとともに最初に咲くため、春の象徴とされている。

これは、作品テーマである「感情への開放性の追求」と呼応し、視線を内側に向け、脆さ・自己認識・感情のレジリエンスを探るものとなっています。

また絵画のほかに、コンクリート製のフラワーベースをモチーフにした立体作品シリーズも制作し、出展している。



【4】 少し前の話になるが、台東縣環境保護局と台東縣政府教育處の共同開催で、11月18日、MLBアメリカ・ボストン・レッドソックスマイナーリーグコーチ兼通訳の蘇柏豪コーチが台東で成長の軌跡、学生時代から国際舞台へ踏み出すまでの歩みなどを語った。

130名の野球少年達は、台東県出身の蘇柏豪コーチの話を熱心に聞き入っていた。

今回のイベントは、臺東縣廢棄物能資源中心(焼却施設)を運営する信鼎技術服務股份有限公司が企画し、環境教育と他分野との協働の力を示した。

蘇コーチは7年以上の実戦経験をもとに、子どもたちに「挑戦するたびに経験が積み重なる。勇気を持って第一歩を踏み出せば、地図は少しずつ開かれていく。」と語った。

台東縣政府教育處は今後も多様な学びの場を推進し、子どもたちが環境や世界を探求する中で、自分の未来の方向性も見つけられるよう支援していくと述べた。

臺東縣廢棄物能資源中心(焼却施設)は、ゴミ処理の重要な施設であると同時に、環境教育の拠点でもある。多様な交流を通じて、子どもたちが環境を知り、世界を知り、そして自分の可能性を見つけられる場所となっている。

 

SlowEconomy(慢經濟)、SlowFood(慢食)を主軸に、台東縣を様々なシーンでPRするその姿勢に敬服する。

単なる国際交流ではなく、そこにはきちんとテーマが在り、持続性を持たせている。

少し辛口なコメントになるが、日本の国際交流は、まずは、「来てください」から始まる。さらに、海外から交流目的に訪問団が来ても、通訳や資料等々の手配、準備が不十分であったり、継続性がなかったりするケースが多い。また、交流先の選択も、基準が曖昧である。
以前、記者は山口県の某市の市長と面会した。花蓮縣を台湾で最初に本格的に開拓を行い、台湾初の日本人移民村を作った実業家の出身がその山口県の某市であった。
これは花蓮縣の人ならば誰でも知っている人だが、肝心の地元では全くの無名。
記者がその人物の書籍を出版したことが縁で市長と面会になったのだが、その市では既に、台北市士林地区と交流があった。日本統治時代初期、その市出身の教師(吉田松陰の妹の次男)が、匪賊(ゲリラ)の襲撃を受けて亡くなっているのだが、その場所が、現在の台北市士林地区であったことが理由だそうだ。
「それ故に、別の地域との交流は難しい」というのが市長の見解だった。
士林地区への気兼ねと、その市に住む士林地区出身の台湾人の重鎮への気兼ねのようだ。
この様な考えでは、とても、国際交流など出来るはずがない。
未来の子供達のためにも、海外との交流は非常に重要な事であると同時に、国際交流を通しての地域活性化も可能となる。

*1 JCIは、「国際青年会議所 (Junior Chamber International)」の意味。世界112カ国以上で活動する、20〜40歳の若手リーダー育成と社会貢献を目指す青年団体 (JC)(日本青年会議所もその一員)を指す。

≪国際青年会議所 (JCI - Junior Chamber International)≫

概要: 世界で最も大きな青年団体の一つで、「明るい豊かな社会」の実現を目指し、青少年のリーダーシップ育成と地域社会への奉仕活動を行う国際NGOです。

日本での活動: 日本青年会議所(日本JC)がJCIに加盟しており、日本各地の青年会議所(LOM)が「修練・奉仕・友情」を基本理念に活動しています。

特徴: 20~40歳までの会員で構成され、1年ごとの役職経験を通じて実践的なリーダーシップを学び、政治家(ビル・クリントン氏など)や国連関係者など多くのOBが世界で活躍しています。

 

*2 「會務交流」とは、特定の組織や団体、特に日本将棋連盟などの「会」の運営に関わる人々(会務担当者や役員など)の間で行われる、情報交換や意見交換を指す。

定義: 組織運営上の議題や課題、事務的な手続き、将来の展望などについて、関係者が互いに情報を提供し合い、意見を交わすこと 。

目的: 組織内の連携を強化し、運営を円滑に進めること。また、異なる地域の支部や異なる部門間でのベストプラクティス(最善の慣行)の共有などが含まれます。

 

*3 茄芷袋(Katsidai)とは、台湾の南部・台南発祥の伝統的な手提げバッグで、台湾漁師網バッグとも呼ばれ、軽量で丈夫、カラフルなデザインが特徴の、お土産やエコバッグとして人気のアイテムです。元々はイグサなどで作られ野菜運搬に使われましたが、現在はナイロン製が主流で、通気性・耐水性・洗える機能性から普段使いやレジャー、キャンプなど様々なシーンで活躍します。

 

出典:台東縣政府、臺東縣政府教育處、台東縣政府文化處、臺東縣環境保護局、台東縣議會議長吳秀華、台東縣國際青年商會

写真:同上

この記事は2025.12.01台東縣議會議長吳秀華、台東縣政府、台東縣國際青年商會発表・2025.12.05、06台東縣政府文化處発表・2025.11.18臺東縣政府教育處、臺東縣環境保護局発表の内容を日本語訳し活用したものです。原文と相違がある場合は、公式サイトに掲載されている原文が優先されます。