2026年より台東県70歳以上の高齢者の健康保険自己負担額を台東縣政府が全額代納 65歳以上の高齢者の重陽節祝い金も引き上げることを台東縣縣長(知事)の饒慶鈴縣長が発表した。


台東縣は厳格に財政規律を守り、縣政府の昨年の未償還債務残高もゼロになったことは11月20日の記事でもご紹介したとおりである。
これを踏まえ、台東縣縣長(知事)の饒慶鈴縣長と縣議會議員、縣職員達は総合的に検討した結果、健全な財政をまず高齢者福祉に充てることを決定した。
具体的には、台東縣在住の70歳以上の高齢者の健康保険自己負担額を台東縣政府が全額負担することになった。
条件は、台東縣に1年以上住民登録があり、70歳以上であることで、対象となる高齢者は約2万7千人。
平均して1人あたり毎月約660元(約3,300円)の自己負担額を、すべて縣政府が負担することとなった。
台東縣政府社会處が自動的に名簿を作成し健康保険署へ提出するため、高齢者が申請する必要はない。
また、65歳以上の高齢者に毎年、重陽節祝い金*1が支給されるが、今年の500元(約2,500円)から2,000元(約10,000円)に増額する事が決まった。
約4万5千人の高齢者が恩恵を受ける見込み。




さらに、最前線で働く臨床看護スタッフのご苦労に感謝するため、台東縣政府は11月9日、「台東県臨床看護師定着支援(臺東縣臨床護理人員留任)」記者会見を開催した。
饒慶鈴縣長(知事)は、「来年1月から病院の第一線で働く臨床看護師に対する定着奨励を開始し、約1,100人を対象に毎月3,000元(約15,000円)の手当を増額すること、そして全国の看護師に向け「東漂(東部移住)」を歓迎し、台東の集中治療・病棟看護人員を新たに100名増やす。」と述べた。

また、饒慶鈴縣長は「台東の看護師を守ることは、口先だけの感謝で終わらせてはならない」と強調し、台東縣政府は行動で最前線の看護人員を支援する姿勢を示した。

縣政府は11月に、11の衛生所に勤務する5名の医師および6名の看護師・所長の昇格を行い、毎月の給与を約4,000元(約20,000円)引き上げた。
今回の「臨床看護師定着計画(臨床護理人員留任計畫)」では、縣内7病院の約1,100名の臨床看護師に対し、毎月3,000元の実質的な手当を支給するもので、中央政府の「三交代制看護師配置基準(三班護病比制度)」や「夜勤手当政策(「夜班獎勵政策」」との連携も可能となり、白衣の天使(看護師)と縣政府が協力して住民を守り、地域医療の質の向上を図る。
記者会見には、臺東馬偕醫院王光德院長、臺東基督教醫院馬堅毅院長、部立臺東醫院王蘭福院長、臺東聖母醫院羅彥宇院長、關山慈濟醫院潘永謙院長、臺東縣護理師護士公會黃瑞蘭理事長らが出席し、支援を表明した。

衛生局の孫国平局長は「現在台東県の病院で働く臨床看護師は約1,100人であり、縣政府は4,320万元(約2億1,700万円)を投入し、集中治療など臨床の急性期病棟に100人の看護師を増員し、東部医療のケア能力を強化することが目的である。」と述べました。
饒慶鈴縣長は、今回の支援に加え、縣政府は立法委員の黄建賓・陳瑩・黄仁・庄瑞雄氏らと協力し、台東馬偕醫院の看護師宿舎建設を進めており、11月17日に国有地賃貸契約が完了したことも発表した。
また、縣政府は近年、5億8,000万元(約29億円)を投入し、大武・緑島・長濱・成功・鹿野・台東保健所の改修・新築を進め、医療機器・設備を全面的にアップグレードしている。
さらに、縣政府は高雄醫學大學、花蓮慈濟醫院、義大醫院などの医療資源を積極的に導入し、大武・長濱保健所の産婦人科や消化器科など専門外来を強化。
台東縣は全国で最も早く5G遠隔医療サービスを開始した縣の1つであり、矯正施設における遠隔ケアも全国をリードしている。
衛生局は、ソフト・ハードの両面で医療環境を全面的に強化し、離島・山間地など弱勢地域の住民の健康を迅速に守っていくと述べ、全国の看護師に「東漂(東部移住)」を歓迎し、台東でのゆっくりとした生活と同時に、台東縣政府の迅速で力強いバックアップ支援を享受してほしいと呼びかけた。


高齢化が日本同様に進む台湾。台湾では僻地となる台東縣。当然、高齢者の人数は増える一方である。日本にも似たような地域は多い。
日本の場合、まず、地方財政が赤字の地域が多い。その中で、日本は何とか、若い世代を増やそうと、子育て支援に躍起になっている。しかし、実際には地方行政側が思っているほど子育て世代は増えておらず、高齢者が増加の一途を辿っている。
台東縣は今までも何度も紹介して来たように、大きな企業がある訳でもなく、農業、漁業が主産業。しかも、観光資源は、隣の花蓮縣に比べると少なく、台北からも遠い。マイナス要因が多い中で、健全な財政運営を図り、債務ゼロを達成し、その恩恵を、高齢者に還元すると言う姿勢は是非、日本の地方行政も見習ってほしいものである。
高齢者にとって住みやすい街、それは結果的に、若い世代にも住みやすい街となる。デジタル化が加速する台東縣だが、決して高齢者を取り残すことなく、各市鎮郷(市町村)のコミュニティーが縣政府と協力して、細やかなアフターフォローを行い、高齢者にも使いやすいデジタル化を図っている。
また、高齢者が増えれば、当然のことながら、医療環境が重要となる。都市部と同じレベルの医療を受けられる環境を完備する。そのために、医療従事者への待遇を地方行政が独自で行う。
全ての面で、縣民第一を考え、それを実践する台東縣政府は、今後、高齢者社会を迎える様々な国々のモデルケースとなるだろう。
*1 「長者重陽禮金(ちょうようれいきん)」とは、
台湾で毎年旧暦9月9日の「重陽節(敬老の日のような日)」に、高齢者に敬意を表して自治体が支給するお祝い金のことです。
重陽禮金とは?
各地方自治体が 一定年齢以上の高齢者に支給する祝い金で、金額や支給条件は自治体ごとに異なる。
出典:台東縣政府、台東縣政府社會處
写真:同上
この記事は2025.12.09台東縣政府、台東縣政府社會處発表の内容を日本語訳し活用したものです。原文と相違がある場合は、公式サイトに掲載されている原文が優先されます。