昨年、臺東地方文化館のメンバーは県外へ足を運び、様々な地域がどのように文化とコミュニティを育んでいるかを視察してきた。
「臺東地方文化館」とはどこにあるのかと思われるだろうが、実は、「臺東地方文化館」という特定の単一施設は存在しない。これは台東県内に点在する複数の「地方文化館」の総称で、それぞれが地域の文化を特色としている。
具体例としては、小米學堂、蘭嶼文物館、新元昌紅茶產業文化館、成功鎮原住民文物館などがある。
臺東地方文化館の例を挙げてみると、
☆蘭嶼文物館: 蘭嶼郷の歴史や文化を展示
☆小米學堂: 金峰郷の小米(キビ)の文化を伝えている
☆新元昌紅茶產業文化館: 鹿野郷の紅茶産業に関する文化を展示
☆成功鎮原住民文物館: 成功鎮にある原住民の文化を展示
その他の関連施設として、
臺東故事館、江賢二藝術園區Paul Chiang Art Center、順天宮文物館などがある。
今年の臺東地方文化館の視察交流活動は、自分達にとって最も馴染みの深い台東に立ち戻り、自らの文化景観を再発見した。
この旅では、博物館やコミュニティ、地元ブランドなど、7つの場所を訪れた。誰もがさまざまな方法で文化を生活に取り入れており、あらゆる場面で文化が日常生活に溶け込んでいる事を再発見した。博物館では、学芸員達の細部にわたる気遣い、空間の変容、そして、物語が絶妙に表現されており、台東独特の文化的な雰囲気を醸し出している。
▌人生は展示場であり、文化は私たちの日常生活の中にある
台東では、展覧場は必ずしも博物館内だけ行われるわけではない。「村を会場とする(村落即場館)」というCuratorial Conceptを掲げるのが稻米原鄉館米郷博物館。ここでは、田んぼの中で文化を育んでいる。


故火工作室は、土坂部落で「土坂時間」を企画し、「部落全体を展示会場とする」という形式で、誰もが 展覧会の企画・管理(監督)者であるCuratorになれるというチャンスを設けた。

都蘭國則把部落は、部落を「国家」と捉え、地域ブランディング*1とアクションを通して世代を超えて力を繋いでいる。そして、廃校を再生した小米學堂では、小米(キビ)をテーマにした教育施設として、産業を文化エネルギーへと転換し、発展を促している。

▌物語を聞き、文化を感じよう
産業界から博物館まで、多くのパートナーが創造性を活かし、地域の物語を継承している。
三代にわたりお茶の香りと物語を受け継いできた新元昌紅茶產業文化館は、常に革新を続け、古い製茶工場を多様なお茶製品と体験を提供する場所へと変貌させた。

成功鎮原住民文物館は、部落文健站と共同で特別展《pohpoh!ina的百草箱》を開催し、植物、香り、音を通して五感を刺激する文化体験を提供している。

脫線故事館は、芸人の“脫線”の人生を通して、観客が共感できる地元の記憶として伝えている。

▌エネルギッシュに、つながりを生み出そう!
今回の視察交流活動は単なる視察ではなく、地域との交流も重要視した。自らが互いの活動からインスピレーションを得て、それぞれの地域(地域博物館)がどのように展覧会を企画し、地域社会とどのように繋がっていくべきかを改めて考える機会となった。臺東地方文化館は単なる展示空間ではなく、様々な物語と生活が交差する場所である。
この様に、同じ県内であっても、地域が違えば、文化も違う。また、地域活性化のための取り組み方も違う。他府県に出向いて視察する事も重要ではあるが、まずは、自分達の故郷、自分達の住む都道府県内をしっかりと自分達が理解する事が最も重要なことである。
東台湾地域では、各々のコミュニティー間の交流が盛んに行われている。そこから得られるヒントが自分達の地域の活性化に役立つことが多い。互いに相手を尊重し、刺激し合いながら、共に活性化に取り組む。それが東台湾地域のコミュニティーの特徴とも言えるだろう。




*1 地域ブランディングとは、地域固有の魅力や特性を発信し、イメージや価値を高める戦略的な取り組みです。
具体的には、特産品や文化、自然環境などを活用し、観光客誘致、企業誘致、移住促進、特産品のブランド化などを目指します。この活動を通じて、地域の経済活性化や定住人口増加に繋げ、他地域との差別化を図ることが目的です。
≪地域ブランディングの目的≫
イメージと価値の向上 : 地域の認知度やブランドイメージを高め、他地域との差別化を図ります。
経済の活性化 : 観光客増加、企業誘致、移住者の増加を促し、地域内での経済循環を強化します。
地域社会の維持 : 人口減少を食い止め、若者が定住しやすい魅力的な地域づくりを目指します。
特産品や産業のブランド化 : 地域ブランドを確立することで、特産品の付加価値を高め、競争力を強化します。
≪地域ブランディングの要素≫
地域資源の活用 : 歴史、文化、自然、伝統工芸など、地域に根付いた資源を掘り起こし、魅力的な形で発信します。
コンセプトの明確化 : 地域のアイデンティティを明確にし、一貫したブランドコンセプトを策定します。
情報発信 : Webサイト、SNS、PR活動などを通じて、地域内外に魅力を発信します。
体験価値の提供 : 観光客が地域を深く体験できるようなツアーやイベントなどを企画します。
多様な主体との連携 : 官民が一体となり、地域住民や地元企業、NPOなどと協力して取り組みを進めます。
≪地域ブランディングの進め方(例)≫
地域の魅力の棚卸し : 地域の資源、歴史、人材などを洗い出します。
ブランドコンセプトの再定義 : 地域の独自性を明確にし、コンセプトを定めます。
ターゲットの明確化:誰に魅力を伝えたいかを設定し、コミュニケーション戦略を立てます。
発信内容の企画・実施:コンセプトに基づき、ビジュアルや体験価値を統一し、発信します。
出典:臺東縣政府文化處
写真提供:同上
この記事は2025.10.27臺東縣政府文化處発表の内容を日本語訳し活用したものです。原文と相違がある場合は、公式サイトに掲載されている原文が優先されます。