Green Care(グリーンケア)とは、自然との触れ合いを通じて心身の健康を促進する活動のことで、自然とのふれあいを重視し、肉体的・精神的な健康や幸福感を高める活動の総称である。
具体的には、自然の中で過ごすこと、身体を動かすこと、ポジティブな社会的な環境を経験することなどが含まれており、欧州などで研究が進められており、人々や社会、環境に多くの利益をもたらすと考えられている。
この考えをいち早く導入した農業部農村發展及水土保持署が進めているのが「農村社區緑色照顧計劃(農村コミュニティーに対するGreen Careプログラム)」である。
この計画の目標は、農村高齢者の適切なケア、健康な高齢化の促進、青年・中年労働力の導入促進、農村コミュニティにおけるグリーンケアの実施支援などを通じて、農村高齢者のニーズに合った生活システムの構築を目指すものである。具体的には以下の4項目を主軸とする。
①人工的な空間に植物を取り入れて、癒しや安らぎ、自然との触れ合いを生み出す場所を指し、公園や庭園だけでなく、屋上緑化や壁面緑化、建物の内装など、さまざまな形で実現するGreen Space(綠場域)
②植物性の食品を強調し、肉の消費を最小限に抑え、野菜や豆類など緑の食材を多く取り入れ、健康的な老化や環境への配慮を目的としているGreen Diet(綠飲食)
③自然、特に植物や緑との関わりを通して、心身の健康を促進する治療法であるGreen Therapy(綠療育)(園芸療法とも呼ばれる)
④環境問題への意識を高め、脱炭素への取り組みを行うGreen Companionship(綠陪伴)
この4項目を軸とした農村コミュニティにおけるグリーンケア推進の目標計画を策定した。将来的には、農漁業協同組合の介護サービスステーションや他部署の長期ケア拠点と連携し、自然との触れ合いを通じて心身の健康や幸福を促進するグリーンケアサービスネットワークを構築していくというものである。
また、政府は、各地域に登録されている「社區發展協會(community development association)」(日本で言うまちづくり協議会の様な組織だが、台湾の場合は、法的登記が必要で、その登記条件も厳格化されている)などの非営利団体から「農村社區綠色照顧計畫」に対する具体的な企画・提案を受け付け、厳正な審査の上で、必要な経費などを政府が補助することとなっている。
10月23日、台東縣でも「農村社區綠色照顧計畫」——「台東の緑、調和、そして幸福(綠照共融趣·幸福佇臺東)」の成果交流イベントが行われた。

前述4項目を主軸に、「グリーンエネルギーを活用して高齢者ケアと地域社会の活性化を目指しています。豊かな自然資源と独自の文化遺産を有する台東は、グリーンケアの推進に最適です。」と陳瑩(Ying Chen)台東縣立法議員は述べた。
実際に、台東縣では、地元の植物と文化を組み合わせたエッセンシャルオイルアロマセラピーと木工体験を行う「Green Therapy」は、高齢者の心身のリラックスを図るだけでなく、地元産業に新たな発展の方向性を提供している。

また、「Green Diet」では、食材を生産する農家から、それを調理するコミュニティキッチン(台湾の場合、各社區にコミュニティーセンターがあり、そこには、厨房が備わっている)で調理された健康的な食事を楽しむ高齢者と、幸福の連鎖を形成し、好循環を形成し、地域産業の成長を促進している。



また、陳瑩(Ying Chen)台東縣立法議員は、「注目すべきは、2016年の国家長期介護予算がわずか47億台湾ドルであったのに対し、2025年には927億台湾ドルに増加したことです。これは政府の高齢者介護への取り組みを示すものであり、高齢者が住み慣れた故郷で健康で幸せな生活を送ることができるということを示している。」と強調した。
少子高齢化、過疎化問題は台湾も日本同様に大きな社会問題となっている。台湾における高齢化の速度は、日本以上の速さで進んでいる。
少子化対策だけを重視するのではなく、今の高齢者に対しての対策もしっかりと打ちだすことが、地方には非常に重要なことである。
しかし、全てを地方自治体に任せるのではなく、民間(非営利団体)からの提案・企画を積極的に受付、補助金でサポートする。実際の活動は民間が行うというシステムが台湾では確立している。
「金は出すが口は出さない。但し、責任を持って期間内に実施、実行し、成果を出せ」というのが、台湾の地方政府の方針である。
記者も花蓮で生活をしている時に、協會を設立させ、旧日本人移民村があった地域で、戦後初の日本夏祭りを実施した経験があるが、その際も、政府側から補助金が出て、さらに、イベント開催にあたり、あらゆる面で協力をしてくれた。さらには、各社區發展協會の協力も得て、日本教育を受けたご高齢の方々が数多くお祭りに参加してくださり、日本から参加した高校生やプロのアーティストと共に、盆踊りなどを楽しんだ。
また、以前、花蓮縣鳳林鎮の鎮長(町長)や議員を連れて日本の地方を訪問したことがあるが、訪問時に彼らから「高齢者の姿が見えない。彼らは何処にいるのか?」と尋ねられた。確かに、台湾の田舎では、自分の畑で収穫した野菜や自分で作った漬物などを朝市で売り、その後、前述の社區發展協會のセンターへ行き、日替わりのイベントや教室(カラオケ、手芸、パソコン、卓球等々)を楽しみ、その後、同教會が用意した昼食を一緒に食べ、その後、家に帰りお昼寝。夕方には外へ出て、近所の人達とおしゃべりと言う光景が普通の光景。とにかく、台湾の高齢者の方々は本当に元気で、積極的に社会に出ている。
故に、彼らには、高齢者の姿がほとんど見えない日本の田舎の光景が異様に感じたのかも知れない。
台湾で社區發展協會が活躍できるのは、行政主導型ではなく、民間主導型+行政サポートが充実しているからである。
地域活性化、地方創生と一言で言っても、各地域によってその状況は異なる。また、市街地と中山間地域とでは抱えている問題も大きな違いがある。やはり、各地域の問題を一番は把握しているのが、その地域に住む住民。日本には、自治会やまちづくり協議会という組織があるが、残念なことに、日本の自治会やまちづくり協議会と台湾の社區發展協會とは天と地ほどの差がある。
花蓮縣、台東縣には、各地域に根付き、確実に成果を上げている社區發展協會が幾つもある。是非、日本でも同様の問題を抱えている地域があるならば、交流をし、参考にしてもらいたい。
そのためならば、記者も喜んで協力はさせてもらう事をここに記しておきたい。
出典:陳瑩(Ying Chen)台東縣立法議員(台東縣縣長候選人)Facebook、農業部農村發展及水土保持署
写真:陳瑩(Ying Chen)台東縣立法議員(台東縣縣長候選人)
この記事は2025.10.23陳瑩(Ying Chen)台東縣立法議員・台東縣縣長候補人Facebook、農業部農村發展及水土保持署発表の内容を日本語訳し活用したものです。原文と相違がある場合は、公式サイトに掲載されている原文が優先されます。