east-taiwan-news(東台湾ニュース)のブログ

東台湾(花蓮・台東)の最新産業・教育・文化に関するニュース

子供達が芸術を通して文化に親しみ、未来を照らす

【2025台東芸術祭:サウンドスケープミュージカル(聲景音樂劇場)「極限の境地で光を求めて(極境尋光)― 江賢二の世界へ」】

 

台東縣政府は、草の根芸術教育の推進を目的に、新古典派室内管弦楽団(新古典室內樂團)と共催し、11月1日の夜、台東芸術文化センター(臺東藝文中心)にて「極限の光を求めて(極境尋光)―江賢二の世界へ」を上演しました。忠孝小学校、初来小学校、太平小学校、卑南小学校などの小学校から集まった保護者、教師、そして生徒計144名が劇場に招待され、異分野芸術の魅力を体感した。


この舞台は、日本のグッドデザイン賞(日本GOOD DESIGN AWARD)とアメリカのミューズ・デザイン・アワード(American Muse Design Award)・プラチナ賞を受賞している。

アートディレクターの陳欣宜氏が率いるこの作品は、サウンドスケープ、エレクトロ・アコースティック、ダンス、そして建築照明デザインを融合させ、目と耳に究極の饗宴を届けた。

台東縣縣長の饒慶鈴氏が自ら感謝状を授与し、「台東を芸術で未来を照らす街にしよう。」と呼びかけた。

生徒達は、民族衣装やユニフォームに身を包み、ホールで集合写真を撮った。


台東縣政府は、学校に芸術を取り入れることで、農村部の子どもたちが芸術文化に親しみ、視野を広げ、台東を芸術が未来を照らす都市へと発展させることができると考えている。

 

また、アイデンティティポートレート(身分肖像)- 吳尚霖の台東ヴィレッジ・イン・レジデンス・アートプロジェクト(臺東駐村創作計畫)共有セッションが、11月9日に臺東美術館大文創教室にて開催される。

 

アイデンティティポートレート(身分肖像)は、吳尚霖氏が2022年に開始した創作プロジェクトで、このプロジェクトは、インタビューとポートレート撮影を通して、若い世代の文化的アイデンティティへの帰属意識や伝統衣装への理解について考察することを目的としている。2023年には、花蓮の海星高中(高校)と基隆の八斗高中の生徒たちを撮影した。

臺東美術館でのレジデンス期間中は、台東高中と共同で、阿美(アミ)族、排灣(パイワン)族、卑南(プユマ)族、布農(ブヌン)族の生徒たちのポートレートを撮影し、このフォーラムを通じて地元の友人たちと共有した。

 

▌吳尚霖

台北生まれ、台北在住。ビジュアルアーティスト、キュレーター、フリーランスライターとして、写真、映像、パフォーマンスアートなど、分野横断的な創作活動を行っている。2000年、國立臺灣藝術大學美術系卒業(学士)。2007年、フランス・ディジョン国立高等美術学校にて国家高等芸術表現ディプロマ(DNSEP)取得(修士)。

近年は、フランス・パリのパレ・ド・トーキョー、韓国・京畿道クリエイティブセンター(GCC)、タイ・シルカルコーン大学(Silpalkorn University)などでレジデンスおよびリサーチ活動を行っている。

現代社会における人々の移動や環境変化から生じる問題に焦点を当て、2013年より展覧会や国際交流のためのキュレーションスタジオ「「阿斯匹靈計畫」(アスピリン・プロジェクト)」を運営。

 

⫸身分肖像 - 吳尚霖臺東駐村創作計畫分享會⫷

パネリスト|羅素玫-國立臺灣大學人類學系副教授

日期|11/9㊐ 14:30-16:30

場所|臺東美術館大文創教室

入場料|無料

 

出典:台東縣政府教育處、台東縣政府文化處

写真:同上

この記事は2025.11.02臺東縣政府教育處、臺東縣政府文化處発表の内容を日本語訳し活用したものです。原文と相違がある場合は、公式サイトに掲載されている原文が優先されます。

世界で最も古く、最も権威のある発明コンテストの一つである第77回国際発明博覧会(iENA)から朗報! 台東縣の中学生が金賞・銀賞・特別賞を受賞!!

台東市の僻地に位置する長濱國中と豐田國中の2校の生徒チームが、世界で最も古く、最も権威のある発明コンテストの一つであるドイツのニュルンベルクで開催された第77回国際発明博覧会(iENA)に台湾代表として参加した。

彼らのプロジェクト「ゼロコンタクト・ヘルスケア・エンジェル(零接觸護康天使)」と「スマートウォーターポンプ(智慧型汲水器)」は、30カ国以上、

数千点の応募作品の中から、それぞれ金賞、銀賞、そして創造力發明特別賞を受賞し、台東と台湾にさらなる国際的な栄光をもたらした。台東縣縣長(知事)の饒慶鈴氏は生徒たちの素晴らしい成果を称賛し、台東に栄誉をもたらした教師と生徒たちに感謝の意を表した。

饒慶鈴縣長は、「これら二つの作品と生徒たちのパフォーマンスは、台東教育の革新的な成果を示すだけでなく、農村部の子どもたちが無限の可能性と世界レベルの競争力を持っていることを証明している」と述べた。

また、「生徒たちが人生経験に基づき、「思いやりの心」を主軸として、実用的でありながら思いやりのある発明を考案し、「心で考え、愛で実践する」という精神を遺憾なく発揮した」と称賛した。

 

台東の中学生たちが勇気を持って挑戦し、夢を追い求めることで、創造性が世界を変える力となり、台東の輝きを世界に示せた結果と言えよう。

 

台東縣政府教育處によると、長濱國中の楊天銘さん、田若晴さん、李孟恩さんの3人は、命を思いやる気持ちを込めて「ゼロ接触ヘルスケアエンジェル(零接觸護康天使)」を設計した。これは、病院レベルの在宅ケアのためのスマート健康モニタリングシステム(A smart health monitoring system for home care at the hospital-level)である。

 

このインスピレーションは、チームメンバーの実体験から学んだ、生命と健康に対する重要性を痛感し、そこから生まれた発明であった。

交通事故の後、医療機器による不快感を経験したことがある生徒、家族の健康上の問題がすぐに発見されなかったことを深く後悔している生徒、そして、自分自身が心臓病を患ったことで健康モニタリングの重要性をより深く痛感した生徒もいた。

 

この発明は、60GHzミリ波レーダー技術を活用し、患者との物理的な接触なしに呼吸や心拍数の変化を検知し、リアルタイムでデータを表示・警告を発する。

患者が助けを求め声を上げた場合、システムは直ちに家族や医療従事者に通報するほか、電子ドアロックを遠隔映像と音声で操作することで、迅速な救助の可能性を最大限に高めるというシステム。

この技術的かつ人道的な研究は審査員から高く評価され、金メダルを受賞した。

 

豐田國中の周佳錞さん、巴青翰さん、朱洛可さんの3人の生徒は、大きなボトルから水を注ぐことの​​難しさや不便さ、特に高齢者や子供、あるいは手の力が弱い人が不注意で水をこぼしたり無駄にしたりしていることに気付いた。

そこで、チームは創造性と技術力を駆使し、「スマートウォーターディスペンサー(智慧型汲水器)」を設計した。

このディスペンサーは、設定に応じて水の流れを自動制御し、超音波センサー技術によって水位を自動検知してこぼれを防ぐことができる。

 

この装置は節水と安全性に優れているだけでなく、水分摂取量を制限する必要がある医療現場にも応用できる。

この作品は、その思慮深く実用的なデザインで審査員を感銘させ、銀メダルと創造的発明特別賞を受賞した。


ニュルンベルク国際発明博覧会(iENA)の舞台で受賞することは、地方出身の学生にとって名誉であるだけでなく、一つの大きな評価でもある。

「生徒たちの成果は学校全体のチームワークの成果であり、革新的な思考だけでなく、協調性と共感性を学ぶ姿勢も示したと言える」と長濱國中の黃紹娥校長は述べた。

豐田國中の洪文政校長も、「生徒たちは生活の小さな不便から始まり、世界をより良い場所にするという壮大な夢を抱いていた」と指摘した。

 

台東縣政府教育處處長蔡美瑤氏は、「台東縣政府は引き続き革新的な教育、STEAM教育、発明育成プログラムを推進し、より多くの学生が実践的な学習やクロスドメイン学習*1に取り組み、勇気を持って国際舞台へと踏み出せるよう支援していく」と述べた。

さらに、「台東の子どもたちは、創造力で希望を創造し、テクノロジーで思いやりを伝えています。遠く離れた地域でも輝けるということを、世界に改めて示しています」と強調した。

 

今回の2025年ニュルンベルク国際発明博覧会(iENA)には、前述の如く、30カ国以上、数千点の応募作品が集まったが、その大半が企業、大学の参加であった。その中で、台東縣という台湾の中でも僻地とされる地域の中学生が金賞、銀賞、特別賞を受賞するという快挙に、感心すると同時に、当然の結果だと感じる。

小学校時代から最先端技術の学習を行い、チームワークの大切さ、継続する事の大切さ、そして、思いやりの心(道徳心)を教育現場で実践している台東縣教育處の方針に間違いはなかったという事である。

今後、彼らの発明品が実用化されることを今から楽しみにしている。

 

*1 クロスドメイン学習(Cross-Domain Learning)とは、あるドメイン(分野やデータセット)で学習した知識やモデルを、別の異なるドメインのタスクに適用する機械学習の手法全般を指します。

≪概要≫

通常の機械学習では、学習データとテストデータが同じ、あるいは非常によく似たドメインに属していることを前提とします。しかし、現実世界では異なるドメイン間でデータの特徴や分布が異なることが多く、そのままでは性能が低下してしまいます。クロスドメイン学習は、この「ドメイン間の隔たり」を乗り越え、効率的に学習を進めることを目的としています。

≪具体的な例≫

推薦システム: 書籍の購入履歴から学習したユーザーの嗜好パターンを、映画の推薦に役立てる。

画像認識: 風景画像で学習した特徴抽出能力を、医療画像診断に応用する。

自然言語処理: ニュース記事で学習した言語モデルを、SNSの投稿分析に利用する。

≪関連する技術≫

クロスドメイン学習は、より広範な概念である**転移学習(Transfer Learning)**の一部と見なされます。

転移学習: あるタスク・ドメインで得た知識を別のタスク・ドメインに適用する手法全般。

ドメイン適応(Domain Adaptation): タスクは同じだが、データのドメインが異なる場合に、モデルを適応させる手法。クロスドメイン学習は、タスクもドメインも異なる場合を含み、より広範な概念として使われることがあります。

クロスドメイン学習により、データが不足しているドメインや、ラベル付けが困難なドメインでも、豊富なデータを持つ関連ドメインの知識を活用して、効率よく高い性能のモデルを構築することが可能になります。

出典:台東最速報

写真:同上

この記事は2025.11.05台東最速報発表の内容を日本語訳し活用したものです。原文と相違がある場合は、公式サイトに掲載されている原文が優先されます。

ブランドイメージの再構築と店舗改装支援によって地域活性化へ 

鉄道沿いに10軒のお店を訪ねてみましょう!

The Most Beautiful Slow East Shop(最美慢東商號)!!

台東は美しい自然と景観、そして伝統文化が生きる街。さらに、デジタル化、AI活用によって地域活性化を推し進める街でありながらもゆったりとした雰囲気を維持している(Slow Economy(慢經済)ことから、観光客に大変人気がある。

 

過去3年間で、台東縣政府は40社の企業に対し、ブランドイメージの再構築と店舗改装を支援してきた。

今年は、東海岸線と南回り線沿線で、さらに10社の店舗のブランドアップグレードと空間デザインの最適化を支援した。

このプロジェクトには地元のアーティストと企業とのコラボレーションによって進められている。

例えば、石山部落の月桃花編みや稲わら工芸、阿水工房の木彫や鉄彫刻、米麻岸工作室のクロスステッチや飾り玉(玉房)など、台東の温かさ、職人技、豊かな創造性を伝えている。

11月5日、台東縣縣長饒慶鈴氏が10軒のお店を訪問した。

🚏關山站(駅)|親水軒西點麵包、興源行民宿

🚏鹿野站(駅)|天來茶園

🚏台東站(駅)|天地人日式手創料理、染人與海文創館

🚏太麻里站(駅)|魯冰花小吃、一碗冰

🚏金崙站(駅)|625早餐店、比努禮曼工作室、穀臼那哪手工麵包工作室


このプロジェクトで台東縣政府が支援している資金源は、台東縣民の税金である。

その税金がどの様に使用され、どれだけ地域活性化に役立てられているのかを、縣長(知事)自らが全ての対象者を訪問し、それをSNSでアップし、広く公開するという姿勢は実に素晴らしい事ではないだろうか。

更に、このプロジェクトに関わっているのが、地元のアーティスト達という点にも着目すべきである。

若者を如何にして地元に引き留められるか。そのためには、若者が活躍できる舞台を行政主導で整える必要性がある。

単に、移住者を増やすだけでは結果的に、移住者は離れていってしますし、他の地方との移住者争奪戦となってしまう。

産業がなければ産業を生み出す努力が必要である。

「田舎だから」で片付けるのではなく、「田舎なのにここまで!」にしなければ人は集まって来ないし、活気も戻らない。

是非、台東縣の地域活性化の手法を見習ってほしい。

 

出典:台東縣縣長饒慶鈴氏Facebook

写真:同上

この記事は2025.11.04台東縣縣長饒慶鈴氏Facebook発表の内容を日本語訳し活用したものです。原文と相違がある場合は、公式サイトに掲載されている原文が優先されます。

地域の文化、歴史を伝承する民謡 台東で蘇った原住民伝統歌(民謡)

博物館コレクションから日常生活へ:「世代の声:歌の記憶」―原住民族の伝統的な歌(日本で言う、民謡)を披露するコンサートが開催された。

 

この公演では、プユマ(卑南)族、ラアルア(拉阿魯哇)族、アミ(阿美)族の伝統歌が披露された。その多くは長年、歌われていなかった。

拉阿魯哇族、阿美族、卑南族合同写真

「今日、消えそうになっていた原住民の伝統歌が蘇るのを見て、私は深い感動を覚えた。歌に込められた信仰、価値観、そして人生観を深く感じ、そして、あの歌声が舞台で響き渡り身震いした。」と語るのが台東縣の民主進歩党所属の立法議員で、プユマ(卑南)族の陳瑩議員。

挨拶をする陳瑩議員



このプロジェクトでは、プユマ(卑南)族の南王、知本、利嘉、建和、下賓朗等の五部落と、呂炳川氏、史惟亮氏、陀沅錄氏、賴靈恩氏等が博物館所蔵の1960年代以降に制作した貴重な録音330点を教材として用い、歴史的な歌声を再び舞台に蘇らせた。

卑南族-南王、知本、利嘉、建和、下賓朗等五部落

卑南族-下賓朗部落

卑南族-建和部落

卑南族-知本部落

卑南族-南王部落

卑南族-利嘉部落

ラアルア(拉阿魯哇)族は儀礼歌に重点を置き、画像とデジタル保存技術を用いて、斉唱、輪唱、合唱といった独自の歌唱スタイルを継承した。

拉阿魯哇族

アミ(阿美)族・都蘭部落の頭目、林昭明氏率いるアミ(阿美)族は、「共に呼吸し、共に歌う(一起呼吸、一起歌唱)」という理念を守り、伝統歌が文化的慣習として、また部族を結びつける手段として強い力を持っている事を表現した。

阿美族

それぞれ独自の文化・習慣を持つ3つの部族は、共に歌を歌い、それぞれの文化的な記憶を表現し、音楽を継承していこうとする情熱と決意を示した。彼らの舞台は、何ヶ月にもわたる練習と努力の集大成を凝縮した内容となっていた。

 

彼らは、「Ancient tune inheritor(古調傳承者=古代の旋律の継承者)」であり、彼らの努力で、伝統的な曲は消えゆく存在から、現代の生活の中に入り込むことができたと言えよう。

彼らは、「この活動は非常に重要なことで、これらの古代の曲が封印されたままであれば、数年後には本当に失われてしまうかもしれない。これらの歌を歌い続け、次の世代に伝承し、自分達の祖先が何千年もの間歌い続けてきた歌は、これからも受け継がれていくことができる。」と語った。

 

台湾立法院*1では「#デジタルアーカイブ 原住民族近代史(人、事、物)記録(數位典藏紀錄原住民族近代史(人、事、物))」プロジェクトを推進し、デジタルアーカイブ化を通じて、原住民族の歌曲、創作、芸術、工芸、文化、スポーツなどの成果を徹底的に保存していく方針である。将来的には、AIとメタバース技術をさらに融合させ、貴重な文化資料を3D立体映像で提供することも目指している。

 

今回のプロジェクトを成功には、臺灣戲曲中心、臺灣音樂館及師範大学の呂鈺秀老師(先生)の尽力が大きかった。

 

今回の舞台では、プユマ(卑南)族の5つの部族が数百人のメンバーを動員し参加、アミ(阿美)族都蘭部落も台北同郷会のメンバーと合同で100人以上で参加した。少数民族のラアルア(拉阿魯哇)族も50人以上のメンバーで参加した。

情熱と感動に満ち溢れた舞台は、200人以上の観客によるアンコールとカーテンコールで、熱狂的な拍手が長く続いた。

カーテンコール

日本でも地域を代表する伝統歌=民謡というものがある。民謡は民衆の生活のなかで生まれ、口承によってうたい継がれてきた歌であるが、日本では若い人には浸透していない様に感じられる。

そもそも民謡という概念はドイツで誕生した。1773年にドイツの思想家ヘルダーによってVolksliedという用語が提唱された。これは「Volks(=民衆の)」+ 「Lied(=歌)」という合成語であった。それ以前は地域や時代により様々に呼ばれていたものを、Volksliedと総称した。日本語の「民謡」は明治時代(1868年 -1912年)の半ば、民俗学など学問的な必要から、ドイツ語のVolksliedという用語(もしくはそれを英語に訳した「folk song」)の訳語として創出された。

「民謡」という言葉を使い始めたのは森鷗外上田敏だと言われている。

その地域の文化、歴史を知る上でも、民謡は非常に重要なものであるが、残念なことに、今の日本では一部の愛好家によってのみ歌い継がれているのが現状である。

これはあくまでも記者個人の見解だが、必ずしも、民謡を伝統的な旋律でのみ継承する必要はないと思う。旋律をその時代に沿った旋律に編曲してもいいのではないだろうか。まずは、内容をしっかりと伝承していく。若者が興味を持つことが重要ではないだろうか。すなわち、民謡への入口を広げ、最終的に、原曲(元々の旋律)に回帰してもらうという手段もあるのでないかと思う。

自分達の地域を知る、故郷を知る、その一つの手段として民謡は重要なのだから。

 

*1 台湾立法院とは、台湾の最高立法機関であり、日本の国会に相当する一院制の議会です。立法委員と呼ばれる民意代表(国会議員)で構成され、法律の制定、予算の決定、政府人事の同意などを行使します。

 

出典:陳瑩(Ying Chen)Facebook

写真:同上、臺灣音樂館

この記事は2025.11.02陳瑩(Ying Chen)Facebook発表の内容を日本語訳し活用したものです。原文と相違がある場合は、公式サイトに掲載されている原文が優先されます。

台東産業デジタル化変革計画の結果は 何故、台東縣はデジタル化で成果を挙げているのか

昨日は台東縣における教育現場でのデジタル、AI活用についてお伝えしましたが、今回は、台東縣の産業界におけるデジタル化についてお伝えする。

台東縣では、「台東産業デジタル化変革計画(台東產業數位轉型計畫)」を打ち出し、近年、台東縣政府は企業や飲食サービス業界におけるデジタル技術の導入を継続的に支援してきた。特に、数年前の新型コロナウィルスの蔓延を防ぐためのシステムの導入に端を発し、発注・納品システムの最適化と電子決済の普及を加速させている。

今年は、飲食、宿泊、土産物、旅行サービス企業など39社へのコンサルに重点を置き、AI応用、ビッグデータ分析、ソーシャルメディアマーケティングに関する27時間の講座を行い、業界を支援した。

その内容としては、

☆POS端末と在庫管理システムの最適化

☆オンライン注文・予約サービスのアップグレード

ソーシャルメディアマーケティングとブランド露出の強化

など。

「台東産業デジタル化変革計画(台東產業數位轉型計畫)」実施の結果、

☆収益1億5,000万台湾ドル以上(約7億5,000万円以上)

☆企業の人件費が平均20%削減

☆処理時間が40%短縮

ソーシャルメディアプラットフォームのフォロワー数が18万人以上増加

というは目覚ましい成果を挙げている。

 

台東縣政府は、これらの成果やその内容を11月1日・2日の両日、入場無料で、台東市の娜路彎大酒店において、「台東產業數位轉型成果展」として成果を発表、展示した。




何度もお伝えしている様に、台東縣は今までは主力産業と言えば農業と漁業しかない場所であった。そのため、若者は高校を卒業すると、ほとんどのものが都会へと出て行った。

しかし、台東縣政府の主導の元、大きな変革、進化を遂げている。

当然、県民の理解、協力があってのことである。なぜ、県民の理解と協力を得ることが出来たのか。そこには、台東の文化、歴史、習慣を常に尊重し、その礎の元にデジタル化を推し進めていった。さらには、デジタル化に県民が取り残されない様に、各コミュニティで、高齢者等々、デジタル化に弱い人々に対して、徹底した支援(無料教室の開催や個別指導)を行い、県民全員参加で台東縣の変革に取り組んでいるからだと言えるだろう。

 

出典:台東縣政府

写真:同上

この記事は2025.11.01臺東縣政府、台東縣縣長饒慶鈴氏発表の内容を日本語訳し活用したものです。原文と相違がある場合は、公式サイトに掲載されている原文が優先されます。

デジタル化、AI活用を加速させ、地域発展に結びつけている台東縣(1)

以前の東台湾への印象は、「遠くて、辺鄙な場所で、不便」「田舎で自然豊かだが、産業はない」「観光に行くならいいが、住むのは無理」「若者には退屈な街」「台湾の中で唯一、取り残された場所」とマイナスイメージしかなかった。

 

しかし、最近の東台湾、特に、台東縣はそのイメージを払拭させる状況になっている。

台東縣縣長(知事)饒慶鈴氏がリーダーシップを取る台東縣政府、台東縣議会議長吳秀華氏を中心とした台東縣議会、台東縣選出の立法議員陳瑩氏などの活躍により、台東縣は大きくそのイメージを変えている。

 

AIの波が台東を急速に前進させており、縣内の小中学校で多様なデジタル技術プログラムが積極的に展開されている。

11月1日、台東縣では「デジタル技術教育・学習成果展(數位科技利用教育學習成果展)」が開催された。

饒慶鈴縣長も参加し、自ら、ドローン障害物競走を体験したり、Intelligent robot*1とのやり取りを体験した。

キャンパスボイスコンテスト4~6年生部門優勝者の三仙國小の陳曉蕎さんは、VTuberと共にステージに登場し、パフォーマンスを披露した。

台東県は近年、デジタル教育のソフトウェアとハ​​ードウェアの両分野での能力向上を進めており、子どもたちの学習の幅を広げている。

例えば、各学校では以下の様な専用の学習スペースを設けている。

☆長濱、初鹿、新生國中 # Technology Center(科技中心)

☆初鹿、富山國小及都蘭、卑南、東海、豐田、海端、寶桑國中# Future Classroom(未來教室)

☆東海國小、關山國小 # Smart Creative Ideation Center(智慧創意發想中心)

☆成功、竹湖、新生、寶桑、康樂國小 #5G Smart Learning School (5G智慧學習學校)

☆福原國小 # XR Digital Learning Center (XR數位共學中心)

☆池上國中 # Intelligent Control Education and Training Base(智慧控制教育培訓基地)

☆大王、大武國中# Science and Technology Incubation Center(科技育成中心)

*國小=小学校 國中=中学校


当新聞2025年9月11日付でもご紹介したEnglish Action Trainは、AIと音楽制作を組み合わせたテーマ別コースを開始した。



ここで重要な事は、いくら立派な施設を設け、プログラムを立てたとしても、指導する教員がいなければ話は進まない。

教育の最前線で活躍する教師たちは、台東の文化と自然を融合させた多様なデジタルプログラムを常に革新的に組み立てている。

デジタルプログラムを指導出来る教師をE教師(E-Teacher)として、指導者としての研修を受けた教師のみがE教師として認定される。

今年は、合計213名の教師がE-Teacher認定に合格。

そのうち、A+レベルE-Teacher賞を授与された教師は22名、AレベルE-Teacher賞を授与された教師は57名、E-Teacher賞を授与された教師は134名だった。

教師同士、学校同士が互いに競い合い、その結果、互いにスキルアップをしていくシステムが整っている様に感じられる。

デジタル化、AI活用は教育現場のみに留まらず、台東縣の産業界にも大きな変革を起している。

この件については、次回、ご紹介します。

 

*1 Intelligent robot(インテリジェントロボット)とは、マイクロコンピューターを搭載し、感覚機能(視覚、触覚など)と高度な知能(AI)を組み合わせることで、状況を自己判断し、自律的に多様な行動を実行できるロボットです。従来のロボットよりも高度な判断能力や柔軟な操作性を持ち、人間と自然なやりとりができるものも含まれます。

≪主な特徴≫

感覚認識機能: 視覚、触覚、聴覚などのセンサー情報を処理し、周囲の状況を認識・理解します。

行動制御機能: マニピュレータ(腕)や車輪などを使い、柔軟で適応的な動作を行います。

計画適応機能: 人工知能(AI)を核とし、問題解決のための計画を立て、状況の変化に対応して学習します。

対話通信機能: 人間と自然な言葉でコミュニケーションをとるためのインターフェースを備えています。

≪従来のロボットとの違い≫

自己判断能力: 事前にプログラムされた動きだけでなく、センサー情報に基づいて自律的に判断し、行動を決定します。

適応力と汎用性: 環境の変化に柔軟に対応したり、学習によって汎用的に動作したりすることができます。

 

出典:台東縣政府教育處

写真:同上

この記事は2025.11.01臺東縣政府教育處、台東縣縣長饒慶鈴氏発表の内容を日本語訳し活用したものです。原文と相違がある場合は、公式サイトに掲載されている原文が優先されます。

コミュニティ間の交流が地域活性化へと結びつく 台東コミュニティ成果発表会

「2024年、2025年台東コミュニティ成果発表会(𝟏𝟏𝟑、𝟏𝟏𝟒年臺東社造成果發表會)」が10月26日午後、台東美術館で開催された。

今回の「2024年、2025年台東コミュニティ成果発表会」には、27チーム、38のサブプロジェクト、そして約80名の地域パートナーが集まった。
「準備段階での思い出、文化の継承、地域共創、地域参加、母語継承(籌備回顧、文化轉譯、區域共創、地方參與、母語傳承)」というテーマに沿って、過去2年間の成果を発表した。

 

​今回は、各コミュニティが「共に考え、共に創り、共に実践する(共思、共創、共做)」というテーマでアプローチし、プレゼンテーションを行った。2024年の「Find consensus(コンセンスの構築=共通認識を持つ(找共識)」から2025年の「協力関係の構築(找合作)」と「手法の構築(找方法)」まで、各メンバーは互いの強みと能力を共有し、キュレーション*1を個人からグループへと押し上げ、共同実験をスタートさせることにした。

​会場は、まるで台東のコミュニティが大家族のようになり、活気に満ち溢れ、心温まる光景が広がっていた。

出版物を通して地域を記録する人もいれば、ウォーキングツアーで人々をコミュニティに連れ出す人もいれば、夜市で住民投票を行う人もいれば、母語を日常会話や笑いの中に取り入れる人もいた。

​方法は違っても、向かう先は同じ。誰かが故郷に戻ってきてくれることを、文化が守られることを、そして人々の暮らしが永遠に続くことを願っている様子が見られた。

​卿敏良老師、劉麗娟老師、廖中勳老師、蘇德銓老師達がコミュニティに寄り添い、支え、そして深く貢献した。

彼らは、コミュニティ構築は個人の努力ではなく、現在そして将来の課題に共同で取り組むネットワークであることを住民達に思い出させた。

 

​「過去を振り返ることは未来を見つける鍵です!」と述べたのが台東縣政府文化處處長の李吉崇氏。「コツ、入り口、そしてパートナーを見つければ、努力は必ずや花開く」と皆を励ました。また、「行き詰まりに遭遇しても、孤独を感じず、無理に頑張ろうとせず、人、方法、そして支援を求めてください。継続することで、皆さんはより強くなるでしょう。」と来場者を激励した。

コミュニティ構築方法に正解はない。誰もが自分らしい繋がり、居場所、そして役割を探しているものである。

日本各地で、地域活性化、地方創生のために、様々な取り組みが行われている。

ただ一つ、記者が感じるのは、小さなコミュニティの中でのみ完結するのではなく、近隣のコミュニティとの連携や互いの成果発表の場、そして、意見交換、交流会などが必要ではないかと感じる。

特に、成果発表という場は、やる気を起こすと共に、「次へ繋げよう」とする継続の力となるのではないだろうか。

 

今の世の中、ほとんどの事はインターネットを観ればわかる時代ではあるが、やはり、人と人の交流に勝るものはないと記者は信じている。

 

*1 キュレーションとは、インターネット上の膨大な情報の中から、特定のテーマに沿って価値のあるものを選び、整理し、独自の視点を加えて提示する行為です。元々は美術館の学芸員が展示品を選んで構成する「キュレーター」の仕事に由来する言葉ですが、現代ではIT分野で広く使われ、情報過多な時代に必要な情報を見つけやすくするために役立ちます。

≪キュレーションのポイント≫

情報を選別する:膨大な情報の中から、信頼でき、質の高いものを選び抜きます。

情報を整理・編集する:集めた情報を、特定のテーマに沿って分かりやすく整理し、再構成します。

新たな価値を付加する:単に情報を集めるだけでなく、独自の視点や解説、まとめなどを加えて、新しい価値を生み出します。

≪具体的な例≫

キュレーションメディア:特定のジャンル(美容、ファッション、グルメなど)に特化し、役立つ情報をまとめて提供するウェブサイトやサービスです。

ニュースのキュレーション:複数の情報源から記事を集め、要約や解説を付けて読者に提供するのもキュレーションの一種です。

SNSでの情報発信:興味のある分野の情報を集めて共有し、自分の視点を加えることもキュレーションと呼ばれます。

出典:臺東縣政府文化處

写真提供:同上

この記事は2025.10.29臺東縣政府文化處発表の内容を日本語訳し活用したものです。原文と相違がある場合は、公式サイトに掲載されている原文が優先されます。